猫氏久しぶりの出会い厨デート!
 がっつり下心をもって臨んだものの、誘った場所が悪かった。猫氏大好きな国立科学博物館……。これ、半年前も出会い厨デートで使った気がする……。猫氏は国立科博が大好きなのだ、大好きなのだ……。

 この時の猫氏のテーマが「身だしなみを整えよう」だった。身だしなみを今回は頑張った。身をたしなんだ。ハンケチとちり紙を持ち、爪を切り、ひげをそり、髪の毛を整えた。整えたけれど、髪の毛、変髪だった。変髪だったなあ……。

 さて待ち合わせ場所で待っている。七月で、ようやく夏っぽい気候。湿度は高かったけど、夏のいい休みの日……そんな日に現れたのが、誰がどう見ても美しい、一輪のスマートな花って感じの女性。さわやかだったなあ、夏だったなあ、それが、品の良さととともにやってきた夏だよ。
 そんな女性と横を歩いて、にぎやかな上野を歩く。子供が多い。まだ学校はシーズン中だから、未就学児童でにぎわっていた。そんななか、まずはゆったりご飯。対面に座り目を見つめるが、きれいだなあ……とうっとりしてしまう。

 なのにだ、猫氏の国立科博へのワクワクさんが止まらない。
 科博の中へさっそく。ついつい猫氏が先走ってしまい先行してしまうけれど、女の子、すごく興味を持ってくれて、大安心。超楽しんでくれてるのが全身から出てる! すげえ助かった……そして、すげえ嬉しい。

 360度シアターを見、巨大振り子を見、剥製がガーッと並んでいる部屋へ行き……。さまざまな動物がこっちを見ている。それらに女の子、丁寧に自然を注ぎ、おもしろいポイントを発見し、語ってくれる。猫氏も調子に乗って、ぺらぺーらぺーらと雑学をドヤ顔で披露。それに嫌な顔をせず、言葉を返してくれる。なんてうれしいんだ……。

 ガリガリ歩いたので、国立科博の屋上・ハーブガーデンで小休止。ペットボトル茶を飲みながら、思い出したようにエロ話。
 そしていつも聞く質問「いつ、女性として自分が美しいと気がつきましたか?」を聞く。

「……一時期、風俗で働いていて、そこでナンバーワンになったとき、はっきりと客観的に、自信になったかなと思います」

 なるほどなあ、と。自分の「美しさ」というのは、主観的で、いつだって懐疑的だ。そこに「数字」や「客観的データ」で、ハッキリと形にするという事が、自信につながるのか。

 自信のない女性は、風俗で働いて、ナンバーワンになると自信を持てるんだろうか? 数字っていうのはでも、しっかり、はっきりと自信に直結するんだろうなあ。年収や偏差値が、ダイレクトに自信につながるのかも。
 そこで、「数字や事実以外の自信」をどう持ってもらえるんだろうか、と考えた。本当に目の前の女の子は、美しくて可憐で、凛としてきれいで、しかもそれは感性や好奇心に裏付けされた、外向きに向かう美しい力だった。数字では表現できない美なんだけれど、その美をどう伝えれば、自信になるのかなあ。

 さて後半戦。まだ国立科博。もうずっと猫氏の興味と興奮を受け止めてくれて、やさしい歩幅で返してくれる。うつくしいなあ、抱きたいなあ、小さな肩を触りたいなあ、と思いながら……

 気がつけば17時になって「時間なので」ということで解散。健全……健全な出会い厨だった。

 別れ際「次こそはガツガツセックスを下心であれしますので!!」と言って手を振った。女の子は笑顔で手を振り返す。

 いいなあ。抱きたいなあ。美しかったなあ。きれいなものを、ただただその小さい肩幅を、ぐっとやりたいなあ、とそんな感じの久々出会い厨でした。