出会い厨したのだけど、衝撃の事実。男だった。そんなこともあったので、レポートします。地獄だった……
2年間くらいずっと会いたくて何かとリプライ送ってた可愛い女の子だと思っていた相手、実はドパンクで鼻ピアスな、童貞野郎だった。
髪の毛剃り込みーの、黒革フアッション、一人称は「わたし」の童貞野郎……くそっ、くそっ、俺の2年間は……旅になんか出なければよかった。悲しい、悲しいが、楽しくお茶した。そして無理やり奢らせた。
「俺は百万人の女子たちにお茶を奢ってきた! だので、俺に奢るということは、女子たちにお茶を奢ったと、同じだ! 死ね!」と言って、そうさせたのだった。
2年間くらいずっと会いたくて何かとリプライ送ってた可愛い女の子だと思っていた相手、実はドパンクで鼻ピアスな、童貞野郎だった。
髪の毛剃り込みーの、黒革フアッション、一人称は「わたし」の童貞野郎……くそっ、くそっ、俺の2年間は……旅になんか出なければよかった。悲しい、悲しいが、楽しくお茶した。そして無理やり奢らせた。
「俺は百万人の女子たちにお茶を奢ってきた! だので、俺に奢るということは、女子たちにお茶を奢ったと、同じだ! 死ね!」と言って、そうさせたのだった。
私はツイッターを使った出会い厨をしている。
かれこれ3年くらい、ツイッターを悪用しては女の子に出会い、時にセックスをしたりしている。
ツイッター出会い厨の何が良いかというと、「あらかじめどんなセンスの持ち主かわかる」という点だ。この点は重要だ。
出会い厨というのは何が重要か。会話である。
外見が30点、会話は70点なのではないかとすら思う。
その会話が成立するかどうか、いや、話していて楽しいかどうかで、出会い厨は左右されるのである。
だから、ツイッターは最高の出会いの識別ツールだ。いい女かどうか、楽しい女かどうかは、ほぼ言葉のセンスだ。
面白いツイッタラーには面白いツイッタラーがフォローされている。
最初の数人、面白いツイッタラーを見つければ、あとはその人がフォローしていて、サムネイルとプロフィールにセンスある、都内住みの女子をフォローしていけば、いい女の子にいつか出会える。
その可愛い女の子と思っていた者とは、2年前にフォローした。
短いつぶやきながら、洒脱、世間斜め度、はまっているもの、何もかも私にスマッシュヒット。私は取りつかれたようにリプライを返す。
センスあるつぶやきを大喜利のお題だと思い、相手に笑ってもらえるような、下品すれすれのリプライを返し続ける。
こうして頑張ってフォロバをもらうのだ。そしてそこからもぎりぎりの交渉が続く。
リプライでふざけ、DMではより距離を詰めた冗談を書き込む。
ところがその女の子はなかなか出会ってはくれない……こんなことは日常茶飯事だ。嫌われない程度の頻度で、私はしつこくまとわりつく2014年の年末ごろであった。
その人は少し、ネガティブなツイートが目立った。猫氏、ここぞとばかりふざけ、しかしDMでは多少心配するような雰囲気の「出会うんだメッセ」を送る。すると、向こうは「なんか猫さんに会ってもいい気がしてきた」と言い出す。
チャンスがやってきた。私は普段チラ見せしか見せないガッツを出す。
年末異様に忙しかったが、それでも出したねガッツを。会いたかったのだ。センスのいい女の子。もはやブスでもかまわない。でも 言葉のセンスのいい女でブスだったのは人類史上、笙野頼子くらいしか思いつかないけど。それでもいいんだ。出会える、出会えるとテンションが高くなるわたくし!
かれこれ3年くらい、ツイッターを悪用しては女の子に出会い、時にセックスをしたりしている。
ツイッター出会い厨の何が良いかというと、「あらかじめどんなセンスの持ち主かわかる」という点だ。この点は重要だ。
出会い厨というのは何が重要か。会話である。
外見が30点、会話は70点なのではないかとすら思う。
その会話が成立するかどうか、いや、話していて楽しいかどうかで、出会い厨は左右されるのである。
だから、ツイッターは最高の出会いの識別ツールだ。いい女かどうか、楽しい女かどうかは、ほぼ言葉のセンスだ。
面白いツイッタラーには面白いツイッタラーがフォローされている。
最初の数人、面白いツイッタラーを見つければ、あとはその人がフォローしていて、サムネイルとプロフィールにセンスある、都内住みの女子をフォローしていけば、いい女の子にいつか出会える。
その可愛い女の子と思っていた者とは、2年前にフォローした。
短いつぶやきながら、洒脱、世間斜め度、はまっているもの、何もかも私にスマッシュヒット。私は取りつかれたようにリプライを返す。
センスあるつぶやきを大喜利のお題だと思い、相手に笑ってもらえるような、下品すれすれのリプライを返し続ける。
こうして頑張ってフォロバをもらうのだ。そしてそこからもぎりぎりの交渉が続く。
リプライでふざけ、DMではより距離を詰めた冗談を書き込む。
ところがその女の子はなかなか出会ってはくれない……こんなことは日常茶飯事だ。嫌われない程度の頻度で、私はしつこくまとわりつく2014年の年末ごろであった。
その人は少し、ネガティブなツイートが目立った。猫氏、ここぞとばかりふざけ、しかしDMでは多少心配するような雰囲気の「出会うんだメッセ」を送る。すると、向こうは「なんか猫さんに会ってもいい気がしてきた」と言い出す。
チャンスがやってきた。私は普段チラ見せしか見せないガッツを出す。
年末異様に忙しかったが、それでも出したねガッツを。会いたかったのだ。センスのいい女の子。もはやブスでもかまわない。でも 言葉のセンスのいい女でブスだったのは人類史上、笙野頼子くらいしか思いつかないけど。それでもいいんだ。出会える、出会えるとテンションが高くなるわたくし!
不思議な縁で、その出会える日に、もう一人の女の子と出会い厨できることになった。
女の子のレポートの代筆するという出会い厨で、午前から呼び出され資料を渡されたりセクハラしたりしていたが、猫さん、その美人レポート女に、これから会う女子がいかにかわいいか熱弁した。
まだ出会ってもないが…「へー楽しみですね」とレポート女に励まされつつ、レポート女とのひと時を捨て、いよいよ対面へ向かった。
ねこさん、リンスをちゃんとつけてきたから髪の毛からいいにおいがする(出会う前後おすすめのシャンプーをツイッターで聞いていたのもこの日のためだった)。
やや遅れで、そこに現れたのは、俺より背の高いバンクス野郎だった。
釣られたのであった。
パンクス君、俺より年下だったが、イカついのなんの。
脱法ハーブやってるようなこけた頬に、牛みたいな鼻ピアス。黒のレザーな感じと、だるんとした襟の、あれなんていうんですかだるんとした服の、靴は鉄でも入ってそうななんかそういうの。
だけど、なんか腰が低い。なぜか。
奴は童貞だったのである。
「今日は出会い厨テクニックを学びに来たんですよー」とさわやかにいう。外見はいかついが、話してみると小心者の小物感がすごい……モテなくはない外見だが、猫さんでも悟る。
こいつ、2秒で後輩になるタイプだな、と。
そんな外見だがちゃんと大学に通っており、哲学科で卒論はニーチェだという。しかしその割に、ねこさんの哲学系トークにあんまり食いついてこないことから、そこまで哲学に興味ないのかもしれない。
いわいる、現代の若者感があり「俺もやっぱ、打ち込めるものがないとだめですよねー」としみじみする。
まあ立ち話も何なので、想定していたデートコースに誘う。ロケーションのいい一杯980円くらいのコーヒー出す喫茶店。ただケーキセットが安いので、ほぼコーヒー代でケーキが食えるといういい店だ。
そこに誘い、パンク童貞から、猫氏がいかにして女の子とセックスしたのかを大いに語ったのである。
しかしなあ、話していると会話がかみ合い、それはそれで楽しかったが、ただ相手が男子というだけで、こんなにも自分のテンションが下がるのかと自分にびっくりしたのであった。
そして冷静に彼のツイートを見直してみたが、男だと分かった瞬間、色あせる……。
全然面白くない。
不思議なんだよなあ。俺が一方的に一人称が「私」だった男のツイートに一喜一憂していただけだったとは。きっと脳内の、センスあり女子がかわいく彼の言葉を言っている姿に、猫さんは悶えていたのかもしれない。彼も「途中で猫さんが俺を女だと勘違いしているのに気づいていましたが、放置しました」というが。
パンクス君、俺より年下だったが、イカついのなんの。
脱法ハーブやってるようなこけた頬に、牛みたいな鼻ピアス。黒のレザーな感じと、だるんとした襟の、あれなんていうんですかだるんとした服の、靴は鉄でも入ってそうななんかそういうの。
だけど、なんか腰が低い。なぜか。
奴は童貞だったのである。
「今日は出会い厨テクニックを学びに来たんですよー」とさわやかにいう。外見はいかついが、話してみると小心者の小物感がすごい……モテなくはない外見だが、猫さんでも悟る。
こいつ、2秒で後輩になるタイプだな、と。
そんな外見だがちゃんと大学に通っており、哲学科で卒論はニーチェだという。しかしその割に、ねこさんの哲学系トークにあんまり食いついてこないことから、そこまで哲学に興味ないのかもしれない。
いわいる、現代の若者感があり「俺もやっぱ、打ち込めるものがないとだめですよねー」としみじみする。
まあ立ち話も何なので、想定していたデートコースに誘う。ロケーションのいい一杯980円くらいのコーヒー出す喫茶店。ただケーキセットが安いので、ほぼコーヒー代でケーキが食えるといういい店だ。
そこに誘い、パンク童貞から、猫氏がいかにして女の子とセックスしたのかを大いに語ったのである。
しかしなあ、話していると会話がかみ合い、それはそれで楽しかったが、ただ相手が男子というだけで、こんなにも自分のテンションが下がるのかと自分にびっくりしたのであった。
そして冷静に彼のツイートを見直してみたが、男だと分かった瞬間、色あせる……。
全然面白くない。
不思議なんだよなあ。俺が一方的に一人称が「私」だった男のツイートに一喜一憂していただけだったとは。きっと脳内の、センスあり女子がかわいく彼の言葉を言っている姿に、猫さんは悶えていたのかもしれない。彼も「途中で猫さんが俺を女だと勘違いしているのに気づいていましたが、放置しました」というが。
ツイートは、もちろん内容もさることながら、誰が発言しているかにも面白さは左右されるんだなと実感した。
その「誰が」とは、プロフィールやサムネの短い間合い、そしてたくさんのつぶやきたちで作られる。そのわずかなヒントで、人は脳内に理想の女の子を作り出すことができるのだ。
たとえ現実が、パンク崩れの哲学科童貞野郎であってもだ!
「おとこもすなる日記ををんなのわたしもしてみんとして、すなり」
と、
本朝初のネカマである紀貫之が、なぜネカマを装ったのかといえば、ネカマでなければかけなかった事を書くためだろう。
文学や言葉は、ただ書かれただけでは完結しないのだなと実感した。発話しているであろうものが、何者であるか。そこで、感動や伝達具合は大いに異なるのである。言文一致を超えて、言文キャラ一致。これが21世紀の日本文学の到達した地点なのかもしれない。
それが今回学べただけでもよかった。
理想の女の子は、現実にはいない。
人は乾いた砂漠で、蜃気楼を見る。蜃気楼が遠くにあるから、人は砂漠で癒される。
それがわかっただけでも良かった。本当に良かった。
彼はいい奴だったし。いい奴だったけど今一つ中身が芯食ってなくて、芯ないときついなと思った。
ただ、これに懲りずに、センスある言葉の美少女をがんがんフォローして、書き込みにいちいち「セックス」だの「マンコチンコ」だの「ダブルマンコチンコズ」だのリプライを送っていきたい。
それはそうと、今日も美人とご飯を食べました。パソコンもって出かけ、2時間くらいレポートのお手伝いをして、それで帰りました。出会い厨頑張ります。これからも、これからも……。
その「誰が」とは、プロフィールやサムネの短い間合い、そしてたくさんのつぶやきたちで作られる。そのわずかなヒントで、人は脳内に理想の女の子を作り出すことができるのだ。
たとえ現実が、パンク崩れの哲学科童貞野郎であってもだ!
「おとこもすなる日記ををんなのわたしもしてみんとして、すなり」
と、
本朝初のネカマである紀貫之が、なぜネカマを装ったのかといえば、ネカマでなければかけなかった事を書くためだろう。
文学や言葉は、ただ書かれただけでは完結しないのだなと実感した。発話しているであろうものが、何者であるか。そこで、感動や伝達具合は大いに異なるのである。言文一致を超えて、言文キャラ一致。これが21世紀の日本文学の到達した地点なのかもしれない。
それが今回学べただけでもよかった。
理想の女の子は、現実にはいない。
人は乾いた砂漠で、蜃気楼を見る。蜃気楼が遠くにあるから、人は砂漠で癒される。
それがわかっただけでも良かった。本当に良かった。
彼はいい奴だったし。いい奴だったけど今一つ中身が芯食ってなくて、芯ないときついなと思った。
ただ、これに懲りずに、センスある言葉の美少女をがんがんフォローして、書き込みにいちいち「セックス」だの「マンコチンコ」だの「ダブルマンコチンコズ」だのリプライを送っていきたい。
それはそうと、今日も美人とご飯を食べました。パソコンもって出かけ、2時間くらいレポートのお手伝いをして、それで帰りました。出会い厨頑張ります。これからも、これからも……。
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