超能力ネットセックラー・美少年戦士藤田なめし猫の食生活とうどん、あと女性と出会った日記

アメーバブログからの移籍。ネットを使って異性に出会い、うどんをたべたり食べられたり。あるいは、超能力でナンパは出来るのか。ナンパでお釣りがくるのか。お釣りを稼いで生活する事は出来ないのか。 出来ないようだ。

2019年07月

  この時、仮に、「スイカちゃん」という名前にしようと思ったのだった。
 猫氏のつぶやきに時々出てくる、出会い厨で出会った女の子。最近よくこの子とお茶をする。猫氏の空き時間とよく会って、急だけど出会えるのだった。

  スイカちゃんの語源は「素以下」。「素」よりひどい自分をよく男に見せてしまって、落ち込んでしまうという。前にちょっと呟いた「本当に見せたい自分」と「絶対に見せたくない自分」を分けている女の子の事です。

  スイカちゃんは、猫氏が言うと説得力がないのだけれど、ものすごく美人です。色白で、髪はいつだってふんわりとして、りりしい目にチャームな鼻。背は高い印象なんだけれど、凛としているから実は標準身長。身につけている物はやや甘めで、その着回しが美人を逆に引き立たせるセンスよい女の子。

  自分の意見がハッキリとし、根拠のないもの、合理的でないもの、道理に合わないものを極端に嫌い、「違うと思う」「そういうのは嫌だ」とハッキリと、感情を隠さずハッキリ言う。不機嫌さをはっきり出すので、裏表がまったくない。上機嫌の時は本当にニコニコがあふれて止まらない。

  それでも、最近不機嫌率が多いかもしれない。理由は「頑張っても男性に出会うとスイカ(素以下)の自分を出してしまって、そんな自分を出してしまった相手と恋人にはなれないからイライラする」からのようだ。

「私みたいな奴に恋人ができるわけがない」と悲しみ怒る。

  人生の幸せを、恋人の有無で判断しすぎなんじゃないかなあと思うが、人の幸せを満たすものを第三者があれやこれや言うのも違う。スイカちゃんは恋人がほしい。恋人に幸せにしてもらいたい。誰でもいい、という。でも、男性の誰もが「ヤリモクだ」と怒る。

  最近、ようやく「一度会って、セックスをせずに解散して、その後も連絡をしてくれる」男性に出会えたという。それまでは集合場所がホテル前だったりするような男とばかり出会っていた。恋人ではない男とするセックスは性欲処理だから、恋愛に関係が無い、ということで、素で出会っている。

 でも、
「恋人ってそういうんじゃないし、恋人とそういうことしたくない。だってセックスなんて最低じゃん。絶対見せたくないし、恋人とセックスする時は子供産むための目的でしたい。性欲とかセックスとかヤリモクとか最低。セックスなんて素以下。恋人とは絶対にしたくない。」
 と。

 見せたい自分は、完璧で、きれいで、自分が思う理想な自分でありたい。
 そこにはセックスはない。でも男性は、ほぼ100パーセント性欲で近づく。女と言うだけで近づく。「でも当然ですよ私は何にもいい事ないデブスだから性欲以外で近づく男性など皆無。もう詰んでる。だから無理。死」と死ぬ顔をする。

 なんで自分の事をそんなに下にしてしまうのかなあ、と思うが、「恋人がいないという事は価値が無いという事なんです!」と独自の価値基準が顔を見せてしまう。たしかに、人の価値基準はそれぞれ。でもそうなると、構造上詰んでしまわないかなあ。

 そのスイカちゃんが、恋人になるかもしれない男性とのデートの話を聞いたのがこの間。
 混乱と絶望を繰り返しながら、時折見せる「恋人になってくれるかもしれない」という希望が織り交ざって、それを独自の視点で語るのが、明朗で、そして楽しい。

 でも、「素以下の自分を見せたからもうこの人とは絶対に恋人になりたくない」とも。その男性とは性的な話題でも盛り上がってしまい「スイカちゃんともセックスは正直したいよ」と言われてしまい、悩んでしまった。

 さて、スイカちゃんにはセフレが二人いる(猫氏は2回セックスしただけで、セフレではない)。スイカちゃんは「ゴミ屑のように扱われるセックスをされたい」という性癖の持ち主で、二人のセフレに「どちらがよりゴミ屑のように扱ってくれるか競わせている」という。

 一人の男からは挿入時に腹パンしてできたアザを、もう一人のセフレに見せ、「これ以上にひどい事をして」とお願いして、またゴミ屑扱いされるセックスをする。スイカちゃんはそんな二人の名前も知らない。ハンドルネームも知らない。固有名詞をつけたくないんだそうだ。個として認識したくない、と。

 ただ、恋人候補の男の人は名前を聞いてしまった。覚えてしまった。

 「どうしたらいいんだろう」とスイカちゃんは悩む。

 「セックスしたいって言われたんですよ。次逢うの、2回目ですよ? 結局ヤリモクなんですか? 素以下のわたしがエロ話したから? わたしセックス嫌いなのに、嫌いな事をするの?」

 性的な事が、スイカちゃんの中の「見せたい部分しか見せたくない私」にとって、大嫌い。でも素以下の私は「ゴミ屑のように扱われるセックスで性欲を解消したい」のであった。そこでも大きな断絶が、スイカちゃんの美しい身体の中で真っ二つである。

「もうやだデートしたい、無意味なセックスしたくない。不意に写真を撮られたい。不意に撮られた写真をインスタに載せたい。路上で手は絶対につなぎたくない。そんなの公開セックスじゃん、性欲じゃん露出狂じゃん。手をつなぐのに目的があるならいいけどないなら絶対に嫌。セックスは本当いや」

 スイカちゃんの出会った男はなかなかやり手で、最初のデートにカウンター席の居酒屋を選択。
 でもスイカちゃんにとっては「私が酒飲めないって言ってなんで居酒屋にするのかわからないしカウンター席はセックス目的に見えるから最低。嫌だ」と言いながらも

「でも見せたい方の私チョロイからカウンター席すごくいい雰囲気だった、けど、勢いでつい素以下の自分が出て不満を全部ぶつけて男の良くなかった点を挙げつらって最終的にどんびくようなエロ話を延々としてしまった」と。

 すると男から「セフレはいる」という情報を引き出す。

「そのセフレとやらが、本当にただセックスするだけの相手ならいいんですけどねー、どう思います?」

 と話を振るスイカちゃん。猫氏はどう答えたものかなー、と思いながら、
「相手の男の人にも猫氏的な友人がいたらどう思う?」と質問に質問で返す。

「クソどうでもいい。」との返事。

「なぜなら猫氏なんてどうでもいい奢り愚痴吐き要員にすぎないから、そんなのが向こうに居ても別にどうでもいい。ただこんな話をしてしまって私に恋人ができるか? できるわけがない。絶望。死だ。」と苦しむ。

 と、喫茶店、注文した甘いものが運ばれてくる。笑顔。

 どうすれば、スイカちゃんは幸せになれるのかなあ。というか、幸せというものが、皆の思うようなものではない気がする。「見せたい自分しか見せたくない」という潔癖さと、「ゴミ屑のように扱われるセックスがしたい」性欲が、身体の中でせめぎ合っている。

 どちらか片方を切り捨てて、片方だけ満足させることができるのかなあ。男の方でも、見せたくない部分の彼女の姿を完全に見ない事はできないと思うんだ。なぜならスイカちゃんは、隠し事が出来ない。全部全力でむき出しにしてしまうから。

 むき出しにされる。精神的なヌードがそこにあり、ヌードとなると、男はちんちんをたてて、性欲で近づいてしまうんじゃないかなあ。性欲以外で近づいたとしても、遅かれ早かれ、素以下の自分は、あらわになってしまう。

 僕も、スイカちゃんのそういうところが好きだし、その男性もそういう所が好きで、2回目に会いたくなったんじゃないかなあ。そう思うけれどスイカちゃん的にはそれもつらい。すべてがつらい。世界全てがつらいのだ。
·
 その男性と会ってくるのが、今週の土曜日と聞いている。どうなったか聞きたいのう。
 どうなったか……。

 猫氏はスイカちゃんのことは本当に好き。その上手くいかなさ、意志があるゆえに、自分があるがゆえに苦しみながら、幸せをやめないで苦悩する姿が、本当に無様で美しくて、セックスしたいなあと思う。
 
 セックスしたいなあと思うんだけどなあ……思うんだけどなあ……。嫌なのかなあ。嫌なんだろうなあ。

 昨日も、メガネを新調&役所に手続きの合間に、ちょっと前に出会った「見せたい私を見せたい」女の子……「スイカちゃん」と出会い厨をしてきた。パンケーキを食べたなあ。とうとう、「幸せのパンケーキ」を食べた。食べたんだよ。甘かったなあ……。

 スイカちゃんは今日も彼氏候補の男と出会う。その隙間で猫氏と会ったのだった。
「もう猫氏とセックスしないと思う」と言われる。

「話が面白いから」
「そういう目では見れない」
「猫氏はセックスの時に優しくしようとする」
「それが気持ち悪い」
 だってさ。

 セックスの時に、やさしくする理由が目的が分からないという。恋人にするわけでもなく、セックスの時に優しくするとは……? という疑問である。
 なるほど。その瞬間だけ優しくして、何の目的がある? と。性欲解消ならわかる。そこに優しさをいれてどうする、と。

 また女の子の性癖として「ゴミ屑のように扱われたい」という希望があるが、猫氏は扱えない……。ゴミ屑の様には……。猫氏は女の子からいろいろ聞いているからなあ。性格を楽しく、かわいく思えてしまっている。そうなると、女の子にとってはつらいという事か……。

 でも、「ゴミ屑のように扱われたい」というオーダーに応じて、ちゃんとゴミ屑扱いするのは、逆にむしろ優しい。ここでセックスに情や、やさしさを出して、セックスして、ホテル出た後何もなかったことにしようとする猫氏の態度の方が、むしろゴミ屑扱いではないか?

 たしかになあ……。やろうと思えばできるんかなあ。ゴミ屑扱いセックス。
 いや、オナニーの時は、レイプ物の動画でよく射精しているから、好みではあるのだ。ただ生身の人間相手だと、疑似やさしさをしてしまう。こわいのだ。レイプしたりゴミ屑扱いするのが。

 ただ女の子の指摘はもっともだ。そう言う目で見られない男から、セックスの時に向けられる優しさが煩わしかったり、萎えたりする勢力もいるだろう。それはすごく納得できる。わかる。やさしさはやさしくない。優しく無さは優しい。

 女の子から「猫氏は本当はセックス好きじゃないんだと思う」と言われる。うーむ、そうかもしれない。「セックスをしてくれる女の子がいる」という状態が好きなのかもしれない。「セックスをしてくれる女の子に優しくしている自分」が好きなのかもしれない。

 というか、「ちんちんを許されたい」ことに気付いた。
 ちんちんは罪だから、やさしくすることで、贖罪したい。女の子に、ちんちんを許されたいんじゃないか。
 
 まあだからなんといいますか、まとめると、「セックスしてえなあ……」ということです。
 セックスしてえなあと猫氏は思ってますので、これを読んだ皆さんは、「猫氏はセックスしたいんだな」と思っていただければ幸いです。

 猫氏、いろいろあって17歳JKと面談。なぜか倫理について語り合う。
 猫氏の本業がいろいろあってJKを相手にすることがあり、そしていろいろ一対一で話していたら桐野夏雄の『グロテスク』の話で盛り上がり、グロテスク、東電OL事件のテーマにしてる小説で、結局普通にセックスの話をしてしまった。出会い厨モードではないのに盛り上がってしまった……。

 JK氏、おそらくは処女。でも大人だったなあ。中高一貫校に外部進学で入学した、という話から『グロテスク』の話になった。普通にセックスについて、男とは、身体を売るとは、など、仕事モードの本垢は語る。
 出会い厨の猫氏とは違う、本垢でセックスについて17歳JKと、しかも仕事の場で語るのは、すっごいプレッシャーがあった。セクハラにならない様に。でも本人のためになる様に、語らねばならない。神経を使った。
 その緊張感が伝わったのか「セクハラじゃないですよ。大丈夫ですわかってます」とは言ってくれた。だが、そこに甘えてはいけない。それくらい、本垢は、というか、JKと性について本名で話す時は繊細である。
 本当は出会い厨で出会ったときも、繊細に話すべきなんだよなあ。ただ、やはり18歳に満たざる者と話すのは出会い厨でも気をつけなくてはいけない。性の話をすることを男性と話す、ということそのものが、ダメージになる場合がある。よく見て、判断しなくては。
 認めなければならないのは、猫氏はJKから見れば「おっさん」なのである。おっさんなのである。そして本垢はそれなりの立場の人間である。絶対、考えなければいけない。あくまで文学としてのセックス、アートとしての性愛を語らねばならない。

 猫氏の本垢さん、写真家のアラーキーが長年モデルにしていたKaoRiさんの話をして、考え方を話したりして。ほらあの、告発してmetooの鏑矢になった女性。でも、セクハラか? セクハラなのか? と緊張しながら、消費される女性性について話す。

 一方で猫氏、身体の共通している猫氏、女性にクソリプを送ってはセックスしようとする出会い厨である。セクハラなんてものじゃない。エロだ。エロそのものだ。そんな私が、JKと、仕事の場で、倫理を話していいのかどうか。

 その一方、一度もエロい事をした事が無い人にも、性倫理について語ってもよいのかどうか。人は死を語るが、誰一人死んだ事が無いのに、死を語るっておかしくないか? いやおかしくないか。いいのか。

 それじゃあ、いいか。

 猫氏久しぶりの出会い厨デート!
 がっつり下心をもって臨んだものの、誘った場所が悪かった。猫氏大好きな国立科学博物館……。これ、半年前も出会い厨デートで使った気がする……。猫氏は国立科博が大好きなのだ、大好きなのだ……。

 この時の猫氏のテーマが「身だしなみを整えよう」だった。身だしなみを今回は頑張った。身をたしなんだ。ハンケチとちり紙を持ち、爪を切り、ひげをそり、髪の毛を整えた。整えたけれど、髪の毛、変髪だった。変髪だったなあ……。

 さて待ち合わせ場所で待っている。七月で、ようやく夏っぽい気候。湿度は高かったけど、夏のいい休みの日……そんな日に現れたのが、誰がどう見ても美しい、一輪のスマートな花って感じの女性。さわやかだったなあ、夏だったなあ、それが、品の良さととともにやってきた夏だよ。
 そんな女性と横を歩いて、にぎやかな上野を歩く。子供が多い。まだ学校はシーズン中だから、未就学児童でにぎわっていた。そんななか、まずはゆったりご飯。対面に座り目を見つめるが、きれいだなあ……とうっとりしてしまう。

 なのにだ、猫氏の国立科博へのワクワクさんが止まらない。
 科博の中へさっそく。ついつい猫氏が先走ってしまい先行してしまうけれど、女の子、すごく興味を持ってくれて、大安心。超楽しんでくれてるのが全身から出てる! すげえ助かった……そして、すげえ嬉しい。

 360度シアターを見、巨大振り子を見、剥製がガーッと並んでいる部屋へ行き……。さまざまな動物がこっちを見ている。それらに女の子、丁寧に自然を注ぎ、おもしろいポイントを発見し、語ってくれる。猫氏も調子に乗って、ぺらぺーらぺーらと雑学をドヤ顔で披露。それに嫌な顔をせず、言葉を返してくれる。なんてうれしいんだ……。

 ガリガリ歩いたので、国立科博の屋上・ハーブガーデンで小休止。ペットボトル茶を飲みながら、思い出したようにエロ話。
 そしていつも聞く質問「いつ、女性として自分が美しいと気がつきましたか?」を聞く。

「……一時期、風俗で働いていて、そこでナンバーワンになったとき、はっきりと客観的に、自信になったかなと思います」

 なるほどなあ、と。自分の「美しさ」というのは、主観的で、いつだって懐疑的だ。そこに「数字」や「客観的データ」で、ハッキリと形にするという事が、自信につながるのか。

 自信のない女性は、風俗で働いて、ナンバーワンになると自信を持てるんだろうか? 数字っていうのはでも、しっかり、はっきりと自信に直結するんだろうなあ。年収や偏差値が、ダイレクトに自信につながるのかも。
 そこで、「数字や事実以外の自信」をどう持ってもらえるんだろうか、と考えた。本当に目の前の女の子は、美しくて可憐で、凛としてきれいで、しかもそれは感性や好奇心に裏付けされた、外向きに向かう美しい力だった。数字では表現できない美なんだけれど、その美をどう伝えれば、自信になるのかなあ。

 さて後半戦。まだ国立科博。もうずっと猫氏の興味と興奮を受け止めてくれて、やさしい歩幅で返してくれる。うつくしいなあ、抱きたいなあ、小さな肩を触りたいなあ、と思いながら……

 気がつけば17時になって「時間なので」ということで解散。健全……健全な出会い厨だった。

 別れ際「次こそはガツガツセックスを下心であれしますので!!」と言って手を振った。女の子は笑顔で手を振り返す。

 いいなあ。抱きたいなあ。美しかったなあ。きれいなものを、ただただその小さい肩幅を、ぐっとやりたいなあ、とそんな感じの久々出会い厨でした。

 さて、これからこの国は戦争を起こす国となり、物資は困窮し失業者が街にあぶれるだろう。
 
 そんなことはさておき、出会い厨というか、時々会う女の子とご飯。後に「スイカちゃん」と呼ぶことになるその子は、出会いしなすごい不機嫌。でも、スイカちゃんはよく不機嫌になるのは知っていたので、ニコニコとデート。

 女の子は猫氏の雑なご飯の誘いにぷりぷり怒っていた。

「なんで計画性が無いの? おかしくない? パンケーキ食べたいって言ったのに何でこの待ち合わせ場所なの? わたし人ごみ嫌いっていったのに何で人が多い場所へ行くの?」

 とおかんむりだ。

 なるほどなあ、たしかに、大切な相手だったら無計画に誘ったり、「パンケーキ食べたい」って聞いて、簡単な下調べだけではなくちゃんと予約を取ったり、待ち合わせ場所も気にするよなあ。たしかに粗雑に扱ってたなあ。

 なかなか街にパンケーキ屋さんというものはなく、しばらくうろうろ。猫氏はこういう時間が好きなのだけれど、

「あなたは好きかもしれないけれどわたしはこういう時間が嫌いなの、あなたのスキをおしつけないでくれませんか?」とおかんむり。

 でも楽しくにこにこ歩く猫氏。

 結局、最初から僕が行きたがってた古くていなせで素敵な古いビルの9Fの喫茶店に。女の子から見たら、猫氏は本当にいらいらしたという。うろうろ、目的もなく、だらだらし、怒られて笑い、冴えない案を出して、結局ここかい、みたいな。

 スイカちゃんの言う事はものすごく納得でもある。
 「わたしをちゃんと扱ってほしい」という希望だ。
 本当に敬意があるなら、無駄に歩かせたり、ちゃんと予約を取り、もっと丁寧に扱うべきだと。
 そうよなあ。出会い厨ってなあ。会って、逢っての繰り返しで、その出会いを粗雑に扱ってしまうか。

 バナナパンケーキプレートが出てきた。それを食べて、女の子の機嫌がみるみるよくなっていく。自分でも「わたしは心が童貞でチョロいから、すぐ機嫌よくなる」という。

 「見せたい私を見てほしいの。見せたくない本当の私は絶対に見せたくない。見せたい私は大切な私だから、ちゃんと大切にされたいというのに。
 まあ? あなたみたいな人間に大切にされたいとかもうないですから。ありえない。恋人には絶対にならないじゃないですか。」

 といい、

「恋人欲しいー……」と言う。

「見せたくない私も見せてかないと、恋人って作れないんじゃないの?」と口をはさむ猫氏。

「絶対いや」
「なんで?」
「なんで恋人に見せたくない自分を見せなきゃいけないんですか。わたし見せたくない自分嫌いなんです。一番いい私をみてほしいし、いつも見せたい自分を見らせられるよう努力する」
「気がつまっちゃうんじゃないかなあ」
「大切に扱おうとする努力もできないんですか?」

 その女の子は、ティンダーで彼氏を探している。
 結構マッチングし、週に3人くらいであえている。で、やりとりし、実際に会い、ホテルに行き、ホテルに行き? セックスして、ひどい男に会って、男にイラつく。

 猫氏も(ティンダーであったわけじゃないけど)そのうちの一人で、セックスをした事がある。
 女の子にとっては「ひどい男」に分類される方だろう。

「あー、彼氏欲しい。愛されたい。彼氏が出来たら、彼氏にエスコートされたい。そのエスコートに、最大限のすてきなリアクションをしたいの。」
「自分から好きになったりしないの?」
「私みたいな奴が愛したらだめじゃないですか。ブスが人を好きになったら無様じゃないですか。そういうの嫌なんです。だから誰でもいいんです男なら。愛してほしいです。選り好み絶対しません。愛されたい。エスコートされたい。デートを計画されたい。」

 女の子は、初めての彼氏が悪くてだらしない男だった。
 ゴムをつけない雑なセックスを愛と思ったりしたり、強い言葉を「愛ゆえにいってくれてる」と思ったり、前の恋人と別れてなかったり。

 そんな男に捨てられて、次の恋愛に動きたいらしい。

 ティンダーの男たちは、女の子に出会って、粗雑に扱い続ける。ひどい男と出会ったトークの宝庫だ。

「今日機嫌が悪かったのも、昨日会った男が最悪でいらいらしてただけだから」といいつつ、その男からデリヘル扱いされたことをぷんぷんと怒っていた。本当、短絡的な男性が多いんだなあ。

「童貞もいやなんです。その年齢まで女性と肉体関係が無いってコミュニケーション能力に問題ありすぎるじゃないですか。絶対いや、気持ち悪い。本当に好きな女の子とセックスできないとか何ですか?本当に好きだとセックスするんですか?本当に好きってなんですか?なんでセックスなんですか?
 わたしは、性欲は絶対彼氏にぶつけたくないです。わたしを本当に大切にするなら絶対セックスなんかするわけないじゃないですか。目的が無い。性欲処理なら私じゃなくてセフレや風俗に行けばいい。子供が産みたい、家族が欲しいなら、ちゃんとそう言ってセックスしてくれればいいのに、何なんですか?」

 そういいつつスイカちゃんは昨日も、おとといも、1週間前も、知らない男とセックスして、イラついていた。

 猫氏も、スイカちゃんと3か月前くらいにセックスした。

 セックスが終わったとき、「なんで? むかつく。なんでセックスなんですか? 本当に嫌だ」と言って枕をベッドの上でぶん殴っていた。泣きながら、何度も何度も。
 猫氏はその時ベッドの上で、にこにこと笑っていた。

 ぺらぺらとおしゃべりし、ずーっと話をし、喫茶店を出、女の子の定期のきく駅までふらふら歩きながら一緒に帰る。

「かわいい、って、なんで言われなきゃいけないんですか?なんで容姿を評価されなきゃいけないんですか? たとえば出会い頭に驚いたように言うならわかるんですリアクションだから、真実だから、素のリアクションだから。
 なんで帰り際に可愛いって言われなきゃいけないんですか?
 今日1日あって、ご飯食べて、いろんな話をして、最後にかけられる言葉がなんで『可愛い』なんですか? 何を話してきたんですか? わたしの性格や人格の話をして、なんで結論が可愛いなんですか? 何の時間だったんですか?」

 女の子は一本筋が通ってるなあと思った。
 それをはっきりと口にして、言葉にする。でもこの言葉は、彼女が本当に愛された時には言えない。なぜならその時見せるのは「見せたいわたし」であって「見せたくない私」が口にしているこの言葉たちは、愛する男には絶対に聞くことができない。もったいないなあ

 やっぱり最初の恋人が良くなかったんかなあ。その後出会う男出会う男、僕も含めて、その女の子を傷つけ続けて。

 彼女は「私みたいな女が人を愛したくない」、「でも、愛されたい。愛されたその時には、最大限の愛を返したい」。

 女の子がパンケーキ食べてる姿は可愛いんだけれど、それを伝えたらきっと、スイカちゃん、傷つくんだろうなあ。パンケーキを美味しく食べる姿は、自分が見せたくないものだろうから。

 魂含めてかわいいんだけど、そう思われるのが、きっと嫌なんだろうなあ。

 戦争が始まる。参院選がおわったら、きっと戦争になるだろう。死者の出ない戦争がはじまる。そんななか、今日であった女の子は、こんな感じだった。

 この子とはその後しょっちゅう合うことになる。
 次には「スイカちゃん」の由来もあわせてお伝えいたします。

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